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「ポスト・フォッシル:未来のデザイン発掘」展

2010年05月28日 00:23

雨の六本木、21_21 DESIGN SIGHT に行ってきた。

「ポスト・フォッシル:未来のデザイン発掘」展
POST FOSSIL : excavating 21st century creation

ディレクターはリー・エデルコート。「トレンド予測のパイオニア的存在」とのこと。今回の展覧会が、彼女の手による日本では初めてのものになるという。


結論から言えば、決して足を運んで損はない展覧会だと思う。

僕は、「デザイン」と言う(日本語の)言葉は、それに一括りにしてしまうことによって意味の本質やそのものの哲学を引き剥がし、「デザイン」から生み出されたモノに自ら表層的なラベルをペタリと貼りつけてしまうような気がしていた。
もちろんこれはあくまでも主観だが、「商い」と「ビジネス」という訳語の日本人的な本質の差異といおうか。もしかしたらカタカナが悪いのかもしれない。"design"であったり"buissiness"なら良いのかもしれない。

リー・エデルコートはこう言う。
「デザインのためのデザインの時代は終わりを告げています」と。

82のアイテム(71組のアーティスト)が、安藤忠雄の設計したハコの中に収められている。
それぞれ全く毛並みは違えども、薄っぺらい括弧つきの「デザイン」とは趣を異にしている。
いくつかは非常に凶暴で、今にも襲いかかってきそうだ。いくつかには自らのライフスタイルに対して「?」、それも徹底した「?」を突きつけてくるだろう。いくつかは一見すると美しさを全面に出しているが健全なグロテスクに溢れている。

そしてそのどれもが、本質的に何者かに結びつこうとしている。それを媒介するのがデザインである。

<ポスト・フォッシル>という意味は、以下にリー・エデルコートの文章を引用するのでそちらを参照されたい。
化石燃料時代を経て、われわれは次に何処へ向かおうとしているのか。アーティストは敏感な人種である。彼ら/彼女らの作品の持つ強烈さ(それは決して表層的なものではない)に、個人的には貫かれ、僕は会場を回りながら何度もトイレに駆け込み、吐いた。得も言われぬ感情だった。それは決して言葉にできない、皮膚感覚のようなものだった。


大転換の時代が到来しました。

社会は今や前世紀と永遠に決別しようとしています。今日では問題視されたり疑問が示されたり、破綻をきたしている創造行為におけるさまざまな決まりごと、理論的な諸ルール、さまざまなスティグマ(汚点)を断ち切るために。そして、物質至上主義を脱却し、代わりに、慎ましく地に足がつき、組み立て直された 状況を実現するために。

ここ数十年で最悪の金融危機の余波を受けて、流麗華美な、デザインのためのデザインの時代は終わりを告げています。新世代のデザイナーたちは、彼らのルーツをたどり直し、自分たちの地球を今一度清め、時には世の始まりにも遡りながら人類の歴史を研究しています。

このプロセスを通して、彼らは自分たちのデザインを考案し、具体化していきます。素材はまさに自然でサステイナブル(持続可能)なものを中心とし、とりわけ木材や皮革、パルプやファイバー、あるいは土や火を好みながら、現代の穴居人さながらにシェルターやさまざまな道具、手づくりの機械類を新たにデザインし、つくり直しています。また、古代のさまざまな儀式を、より簡素な、しかしながら満ち足りて充実したライフスタイルを創出するべく再解釈しています。明日のフレッド・フリントストーン*1のように。

骨格構造は、生物の生長過程に倣った太古の住居や千年来のさまざまな造形物を特徴づけます。また、手吹きガラスや手焼きのうつわが未来の食卓を彩り、いつしか食されなくなっていた野菜や地元で収穫された旬の食べ物が盛られ、さらなるスローフードが提案されることでしょう。

素材は概して地味で慎ましいものとなるでしょうが、しかしながらこの世代のデザイナーたちは、地球が大地に秘める富、すなわち鉱物や合金やクリスタルの利用にも誘なわれ、艶、そして時には輝きまでをも、これら一連のフォッシル(化石)のようなコンセプトとクリエーションに付加します。これらのデザインでは、じきに復活する運命にあるアルテ・ポーヴェラ*2の本質に共鳴するところも、時に見ることができるでしょう。
こうした動きの主要素となっているのは“自然”です。ここでは自然はもはや無邪気で情熱的なエコロジー言語の文脈では用いられていませんが、しかし、さらに新しい時代にふさわしい成熟した哲学として用いられています。提起されるべき問題を、提起すること……。


より豊かになるために、より少ないものでやっていけるでしょうか?
デザインは魂を持ち、それゆえ生気に満ちたものとなりうるでしょうか?
人はより意味ある消費の方法を見つけられるでしょうか?
私たちは、過去と決別し、新たな未来を創造できるでしょうか?

リー・エデルコート




もう一度だけ。この展覧会、一度足を運んで決して損はないと思う。吐いていた人も他にはいないようだったので、多分大丈夫でしょう。
会期は6月27日まで。

詳細はこちら → http://www.2121designsight.jp/pstfsl/index.html

[image/air_ : 細越一平]

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DUO BRUSSELS concert 2010 <予言の鳥>

2010年05月26日 12:20

DUO BRUSSELS concert 2010 <予言の鳥>
渡瀬英彦+大宅裕 ― 今あなたに響くべき、音楽がここに。

洪水のような情報の中にあって、音楽もまた私たちの周りの至る所で流れています。
消費され、BGMとなった音楽は、それ本来の持つ「響き」を失いつつあります。
「響き」とは物理的な振動でありながら、聴き手<ひとりひとり>の心を揺り動かす「体験」に通じる「なにか」です。

2010年東京、夏。その「なにか」を感じられるコンサートを開催します。

ユニークなキャラクターで、ジャンルを越えて音楽の機微を伝えている吟遊詩人・渡瀬英彦は、日本では未だ珍しい「フルート・ダモーレ」を携えて、ロマン派の作品で真骨頂を発揮します。
ベルギーを中心にヨーロッパで幅広く活躍している大宅裕は、近現代作品のスペシャリストとして、明晰なタッチと卓越した塑像力を展開し、作品の持つ本質を照らし出します。

今回は演奏者の息遣いすら感じることができる距離感のコンサートホールを選びました。
そこでは、音楽はただ流れ過ぎ去るものではなく、「対話」として、<ひとりひとり>の心に寄り添うことでしょう。
音楽はそのファンタジーの中で、時に優しく、時に厳しく、聴くものに謎をかけ、深い闇の底を見せ、光を与え、夢を語る。
そんな、音楽の本来の在り方に、どうぞお立会い下さい。

コンサートが終わり、ホールの扉を開けるとき、あなたは、それまでとは別のあなたになっていることに気づくはずです。

------------------
2010年7月11日(日) 15時開演
やなか音楽ホール 東京都台東区谷中3?23?8
全席自由4000円(ワンドリンク付・税込)
親子券(6000円・2枚)

------------------
ロベルト・シューマン:『幻想小曲集』
  Robert SCHUMANN:Fantasiestücke Op.73
平尾貴四男:『フルート小奏鳴曲』
  Kishio HIRAO:Sonatine
ロベルト・シューマン:『予言の鳥』(『森の情景』より)
  Robert SCHUMANN:Vogel als Prophet (Waldszenen Op.82)
オリヴィエ・メシアン:『黒つぐみ』
  Olivier MESSIAEN:Le Merle Noir
ブライアン・ファーニホウ:『カッサンドラーの夢の歌』
  Brian FERNEYHOUGH:Cassandra's Dream Song
ジョン・ケージ:『ある風景の中で』
 John CAGE:In A Landscape
吉松隆:『デジタルバード組曲』
 Takashi YOSHIMATSU:Digital Bird Suite

------------------
主催:イメージエア音楽事務所

チケットお申込みやお問い合わせは、期間限定ウェブサイト
 :http://sites.google.com/site/duobrussels/ をご覧ください。

メール( info@imageair.jp )でも受け付けております。


[image/air_ : 細越一平]




吉松隆「鳥シリーズ」を聴く。今だから響く音楽の可能性。

2010年05月26日 01:33

ちょっとしたきっかけがあり、吉松隆氏の初期の室内楽作品を聴き返している。
所謂「鳥シリーズ」の内から数曲。
・デジタルバ?ド組曲  Digital Bird Suite 1982
・鳥の形をした4つの小品 4 Pieces in Bird shape 1983 
・ランダムバ?ド変奏曲 Random Bird Variations  1985
・ファジイバード・ソナタ Fuzzy Bird Sonata 1991 あたり。

10代の終りから20代のはじめによく聴いていたのだからほぼ10年、ということになる。
当時は文字通り浴びるほど聴いた。LPだったら確実に磨り減っていたと思う。
CDは当時僕の住んでいた山形では入手できず(カメラータ・トウキョウは取り寄せられなかった!)、はるばる仙山線に乗り大都会・仙台の新星堂とかで購入したと思う。そう考えれば今はなんと良い時代だろう。

改めて聴き返すと、全く印象が異なっていることに驚く。
もちろん録音なので対象は同じ、ということは聴き手である自分が変わったということだろう。
そういうことがあるから、音楽は面白い。

10代の頃に聴こえた自意識やセンチメンタリズムは影を潜め、焦りや孤独、諦観といった感情に、したたかさや揺るがない強さ、そして道化とも取れるような楽観/客観の思想が盛り込まれている。


1953年に生まれた作曲家は、29歳で「鳥シリーズ」を書き始めた(その前年に『朱鷺に寄せる哀歌』を書いている)。
つまりは今の自分とほぼ同じ年齢で書かれたのがこれらの作品ということだ。

『朱鷺に寄せる哀歌』で、失われゆく調性や音楽そのものの美しさを絶滅した鳥に重ね合わせ、彼らのいない空を眺めながらそれらがいつか復活する日を祈った吉松青年が覚悟とともに記した音楽は、もしかしたら今の空気こそを震わせるものなのかもしれない。


 なにしろ音楽というものがあまりにも素晴らしいので、せっかく生きているのだからせめて美しい音楽のひとつも書いてからのたれ死ぬのも悪くない、とそう思って作曲を始めた。

 大学は途中でやめ、今から思うと背筋の寒くなるような不毛な生活をしばらく送るはめになった。なにしろ独学だから当然といえば当然なのだが、書いても書いても呆れるほどどの曲ひとつとして音にならない日々が七年間ほど続いた。
  窓の外で四季がゆったりと回転しているのがわかった。初めは絶望し、深海の底から星を見ているような気分が続き、後にはその見事さに深夜一人で笑い転げた。

 そんな生活を送っていると、逆に、演奏されないような音楽を書いていても殺されもせずにとにかく生きていられるということが、それはもう感動的に思えてきた。
  そしてある朝、神が言い給うた。
 - 幸いなるかな、演奏されない音楽の作曲者よ。音楽は汝のものなり -
 後光が眩しかった。
                                                               (「魚座の音楽論」より)

この文章を読むと、何故「鳥シリーズ」の作品群が、刹那的とも言えるほどに訴えかけてくるのかが理解できる。
まさしくこの音楽は、吉松青年が刻印した「生」の証でもあるのだ。



上述した「鳥シリーズ」の内、「ファジイバード・ソナタ」以外の3曲はこちらの作品集で聴くことができる。
2枚組で、上記室内楽曲の代表曲に加え、オーケストラ作品で『朱鷺に寄せる哀歌』、『チカプ』、『鳥たちの時代』、そして『交響曲第2番 地球にて』が収録。

[image/air_ : 細越一平]
 音楽ノート1
 白い風景 吉松隆
 朱鷺(トキ)に関するニュースを2つ、吉松隆、「朱鷺に寄せる哀歌」。

渡瀬英彦:コンサートスケジュール

2010年05月25日 22:27

フルーティスト渡瀬英彦さんの主だったコンサートスケジュールを頂きました。
DUO BRUSSELSでは、渡瀬さんについてこう書きました。

「ジャンルを越えて、音楽の機微を伝えている現代の吟遊詩人」

今回は、ファド(ポルトガルの歌)の名手羽根田ユキコさんとの最近のコラボレーションに寄るものと、THE YELLOW MONKEYのドラムス菊池さん(弟さんの方ね)たちとの異種格闘技ライブ、と多彩なものになっています。



Trio The Trip & 羽根田ユキコ
CD『Music Trip ?アランフェス?』発売記念ライブ

6月10日(木曜日)19時? 
@目黒Blues Alley Japan
 目黒1-3-14 ホテルウィングインターナショナル目黒B1F
Tel03-5496-4381
Music Charge \4500(前売り\4000)

佐野聡(Tb)
渡瀬英彦(Fl)
宮澤等 (Vc)
加藤実(Pf)
石井由紀(Ob)

羽根田ユキコ(Vo)

なお、CDは DOMO Records より発売


CHEMICAL REACTIONAL SESSION
鹿間朋之プロデュース 化学反応ロックセッション
?七夕&渡瀬君お誕生日ライブ

7月6日(火曜日)19時?  
@吉祥寺MANDA-LA2
 武蔵野市吉祥寺南町2-8-6
Tel0422-42-1579
Music Charge\3300(前売り\3000)

菊池英二(dr)
寺田正彦(key)
渡瀬英彦(Fl&Bass Fl)
オバタコウジ(gt)  
鹿間朋之(Bs)
シータ(Vo)
池田梨枝子(Vn)


[image/air_ : 細越一平]

イメージエア音楽事務所

2010年05月24日 23:45

4月17日、「イメージエア音楽事務所」を立ち上げた。

といっても書類の必要に応じてという訳で、特にまだ実体があるわけではない。
しかし意味なく生まれてくる人間などいないように、この名前もまたしかるべくして生まれてきたのかもしれない。

20歳の時に音楽を生業にしようと決め、随分と回り道をしてきたような気もする。それでも2010年4月20日という日付は常に意識していた。決して気張らず、ただ、今いるこの場所が辿り着くべくして辿り着いた最良の場所と信じること。
今ここ、この瞬間から常に生き直すその気持ちは常に携えていたい。

そんな訳で、日々学びの連続である。自分はこんなことも知らんのかと愕然とすることも、思い通りに行かないこともままあるけれど、それを引っくるめて楽しみ尽くせるような毎日でありたい。
知見を広めることが旅の本分であるのなら、今この瞬間は旅にこそ違いない。まずは一歩、ようやく踏みだしたところ。
image/air_の冒険が、一人でも多くの喜びや輝きに繋がっていきますように。


[image/air_ : 細越一平]




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